欧州の大麻市場/医療大麻の可能性 by アストラサナ ~ CBDアドベントカレンダー2024 ~

こんにちは。CBD部のこんさんです。
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この度は、CBD/麻産業を盛り上げるという趣旨の連載企画 CBDアドベントカレンダー2024 に共感いただき、世界に7つのグループ会社を持つ『アストラサナ ・ジャパン株式会社』に記事を寄稿いただきました。

合法化が進むヨーロッパからみた医療用大麻の在り方や可能性、現地レポートなどについて、分かりやすく記述いただきました!ぜひご覧ください。

♯CBDアドベント

皆さん、こんにちは。

スイスの医療大麻メーカーの日本法人、アストラサナ ・ジャパン株式会社で統括マネージャーをしております、角 浩太(かど こうた)です。

「欧州の大麻市場」そして「医療大麻の可能性」を日々追求していく中で、私なりに感じた思いや考えを記事にさせていただきました。

ぜひご一読ください。

※本記事は、CBD/ヘンプ産業を盛り上げることを目的とした日替わりの情報発信企画、CBDアドベントカレンダー2024( https://calendar.cbdbu.jp/advent/2024 )と連携しております。

欧州市場の大麻合法化の背景

ヨーロッパでは2021年12月、マルタ共和国がヨーロッパで初めて嗜好用大麻を合法化したことを皮切りに、ルクセンブルク、そして今月4月1日にはドイツも嗜好用大麻の合法化に踏み切りました。また、オランダをはじめヨーロッパ諸国では少量の大麻の所持・使用を非犯罪化している国も多く存在します。

アストラサナの本社があるスイスでは、2022年8月の医療用大麻に関する法改正により、医師からの処方箋があれば薬局で医療用大麻製剤や医療用大麻花穂を購入することが可能となりました。

同グループ会社があるチェコ共和国では、2013年に医療用大麻を合法化し、医療用大麻に医療保険が適用されるなど、患者に寄り添ったシステムを国をあげて構築してきました。

このように現在ヨーロッパでは花穂を含めた大麻製品が流通し、時代の変化に合わせて医療用途・さらには嗜好用途の緩和が加速の一途を辿っています。

合成カンナビノイド市場の存在

ヨーロッパ諸国が合法化を進める背景には、合成カンナビノイド市場が存在していることも大きく影響しています。

特にヨーロッパの中でも大麻の先駆的な国であるチェコ共和国の首都プラハでは、2013年に先駆けて医療用大麻を合法化した一方で、街の至る所に大麻のモチーフであるリーフマークを掲げた店舗が数多く存在し、店内では茶色あるいは黒色に変色した花穂が販売されています。

花穂の中身は数年前に日本でも社会的問題となりその後指定薬物となったHHCTHC-PO THC-Oといった合成カンナビノイド成分がCBD花穂に吹きかけられた状態で販売されています。それ以外にもグミやクッキーなどのエディブル商品も多く存在し、まさに合成カンナビノイドが市場に蔓延していると言わざる得ない状況となっていることも事実です。

ドイツで嗜好用大麻が合法になった際も「違法な市場や麻薬関連の犯罪を抑制し、混ぜ物や有害物質の消費者数を減らすこと」を目的に計画的に合法化が進められてきました。

日本においては合成カンナビノイドは随時取締り規制を強化していますが、カンナビスに関しても同じく使用罪を新設し、麻薬と同じレベルに引き上げるなど各国の考え方の違いというのが反映されて見えます。

写真1: チェコ共和国の首都プラハ。大麻を求める観光客向けの看板が街の至る所で見られます。
写真2: 店内にはHHCやTHCPなどの合成カンナビノイドが陳列されています。

CBDの枠を超えた医療用大麻花穂の可能性

現在医療用大麻合法国では、CBD製剤をはじめTHCエキス、さらには医療用大麻花穂まで幅広く取り扱いされています。

医療用大麻花穂について馴染みがない方も多くいらっしゃると思いますので、一度花穂についてお話しさせていただければと思います。

カンナビスは雌雄異種の植物であり、生長とともに性別の確認をしなければなりません。一般的には光周期が12時間の開花サイクルに移行してから1週間から2週間程度で性別の確認ができます。

雄株は光周期が開花サイクルに入ると生殖器官である雄しべを形成し、葯(やく)で花粉を生産します。通常新しい品種改良、繁殖させる以外は雌株との交配・受粉はさせないように全て取り除くのが一般的です。

雌株はというと、光周期が開花サイクルに入るに従って、フロリゲンと言われるホルモン物質が開花シグナルを送ることで、花芽の形成がスタートします。

通常雌株の確認は、節に涙袋のような形をした萼(がく)が形成され、そこから2本の白い毛が顔を出したら雌株と判断をします。

カンナビスの系統や生育環境によって異なりますが、開花期では少なくとも6週間以上、最長で20週間の開花サイクルを必要とし、花芽が肥大し成熟するまで生育されその後収穫期を迎えます。

成熟した花穂の表面はトライコームと呼ばれるマッシュルーム形状の分泌腺で覆われます。これらの分泌腺にはTHCを豊富に含むほか、CBDをはじめ多くのカンナビノイドテルペンフラボノイドが生産・保存されています。

トライコームの成熟(収穫のタイミング)の度合いで、花穂を摂取した際の人体への作用が異なりますが、ここではその詳細につきましては割愛させていただきます。

北米や欧米で言う「医療用大麻花穂」とはこの成熟したカンナビスの花の部分を指し、薬効成分のほとんどは、この分泌腺に含まれています。

さらに医療目的での花穂に関しては、大麻特有の臭いや香り・特定の効果を示すテルペン含有量が1%より3%あるいは4%といった高い含有量であるほうが重宝されます。

これが本来あるべき姿のアントラージュ効果なのです。

つまりCBD製品あるいはCBD医薬品単体で摂取するよりも、医療用大麻花穂で摂取する方がより高い効果を発揮することがわかります。

日本においては、THCは向精神作用があり危険であるという偏った報道により悪者扱いをされやすい物質です。

しかし実際にTHCが持つ薬理効果のポテンシャルは非常に高く、人間が生まれつき持つCB1受容体に直接働きかけることで、慢性疼痛の緩和、吐き気抑制、痙攣抑制、食欲増進など様々な効能があります。また一部の論文や研究で癌細胞の抑制効果があることも明らかになっています。

今回の法改正で、部位規制(茎・種)の撤廃、THC基準の制定、大麻由来医薬品の認可は、微量ながらTHCが含まれることで多くの患者が救われる要素、可能性を秘めている大変重要な一歩であると捉えています。

私たちアストラサナ・グループは近い将来に高THCを含む医療用大麻花穂が西洋医学の次の一手として、より多くの患者に届けられる社会を目指し、使命感をもって取り組んでいきたいと強く考えております。

アストラサナ・ジャパン株式会社創業一周年

アストラサナ・グループはスイスチューリッヒを本社拠点としチェコ共和国、英国そして日本に7つのグループ会社を持つグローバル企業です。

医療用大麻の分野で先駆的な企業であるアストラサナ・グループは、GACP認可を持つインドア栽培施設を有するほか、スイスとチェコ共和国に製造及び薬局での小売販売を展開しています。

医薬品取り扱いライセンスを保有し、品質、持続可能性、イノベーション、顧客満足度に強く焦点をあて、患者に安全かつ有効な医療用大麻製品を提供することにコミットしております。

また役員に医師や薬剤師を含むことで、大麻産業においての医学的な見解と考察を行うことで戦略的な競争力を保持しています。

なお日本法人であるアストラサナ ・ジャパン株式会社は、Non-Pharmaグレードでありながら高品質かつユニークなヘンプ由来のカンナビノイド原料を卸売販売しております。

アストラサナ・ジャパン株式会社は、2024年3月3日、日本法人設立から一周年を迎えることができたことをご報告致します。これもひとえに日頃からの温かいご支援と日本の大麻産業にかかわる皆様方のご協力の贈物と心から感謝の意を表し、厚く御礼申し上げます。

写真1:Astrasana Holding   GACP  Indoor Cultivation Facility

写真2:Vegetable Stage

◆2023年5月

「アストラサナ ・ホールディングとクレバーリーブスが戦略的パートナーシップ」

https://hemptoday-japan.net/14485

◆2023年10月

「アストラサナ ・ホールディングとカントラージュが医療用大麻供給合意」

https://hemptoday-japan.net/15451

◆2024年3月

「欧州大手大麻企業のキュラリーフとアストラサナ がパートナーシップ」

https://hemptoday-japan.net/15869