KCA Labs が教える!カンナビノイド検査の最前線 ~CBDアドベントカレンダー 2024~

KCA Labs CBD Advent 2024

今回は、アメリカ合衆国ケンタッキー州に研究所を構える KCA Labs が、現在のカンナビノイド検査の最前線をご紹介します。

※本記事は、CBD部主催の”CBDアドベントカレンダー2024“との連携記事です。

KCA Labs の紹介

KCA Laboratories(以下 KCA Labs)は、2019年にアメリカ合衆国ケンタッキー州ニコラスビルに設立された、主にカンナビノイド検査を行っている研究所です。日本厚生労働省登録(US20150)ケンタッキー農業局(KDA)ライセンス取得麻薬取締局(DEA)登録PJLA ISO/IEC 17025 認定という実績を持った、数あるカンナビノイド検査機関の中でも非常に信頼のある検査機関です。

日本厚生労働省登録(US20150)

左から、ケンタッキー農業局(KDA)ライセンス、麻薬取締局(DEA)登録、PJLA ISO/IEC 17025

KCA Labs の主な実績

主な実績として、2021年終盤頃から日本でも多く流通したヘキサヒドロカンナビノール(HHC)(※国内では2022年3月17日時点で規制)や、Δ8-THCの反応副産物の検査を初めて商業的に実施しました。現在、70種類以上ものカンナビノイド類の検査を実施しており、30ヵ国あまりに1,700以上もの顧客を持ち、年間で行う検査の回数は15,000回以上にもなります。

カンナビノイド検査について

まず、カンナビノイド検査とはどのようなものなのでしょうか。一般的にカンナビノイド検査とは、専門技術を用いて物質の特性を特定するプロセスのことであり、主に2つの目標があります。1つ目が物質のプロファイリング(成分分析)で、2つ目が物質中の汚染物質の同定です。

なぜ検査が必要か

それでは、以上の目的を持っていない場合は検査を行わなくてよいのでしょうか?いいえ、そうではありません、全てのカンナビノイド事業者が検査を行うべきです。検査が必要な理由は主に4つあります。

製品の特性を理解するため

例えば、カンナビノイドは100種類以上存在し、それぞれが複雑に作用しています。製品の特性を知るためには、製品中に何の成分がどれだけ含まれているのかを検査することがとても重要になります。

② 規制要件を満たしていることを確認するため

日本では、大麻の主成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)の所持・販売が規制されています。検査を行うことで、製品中にΔ9-THC等の規制物質が含有されていないことを確認することができます。

③ 安全に消費できることを確認するため

重金属やマイコトキシン(カビ毒)、微生物、残留農薬、残留溶剤など、体に有害な成分の検査を行うことで、製品を安全に使用できるということを確認できます。これは、消費者にとって最も重要なことであるといえます。

④ 製品開発に役立てるため

検査結果を参考にすることで製品開発を効率化できます。使用するカンナビノイド原料の濃度が検査によりあらかじめ分かっていれば、配合するカンナビノイドの割合を簡単に計算することができます。

検査の種類

前述したとおり、カンナビノイド検査には内容物(カンナビノイド類)の検査不純物の検査があります。カンナビノイド検査には、HPLCおよびGC-MSを用い、不純物の検査にはGC-MS、ICP-MS、LC-MSなどを用います。

以下に、同じ物質をHPLCとGC-MSでそれぞれ検査した際のクロマトグラム(検査結果)を掲載します。使用する測定機器により、クロマトグラムにどのような違いが出るか確認しましょう。

KCA Labs : Chromatogram by GC-MS
KCA Labs : HPLCを用いた検査のクロマトグラム

HPLCを用いた検査のクロマトグラム

KCA Labs : Chromatogram by GC-MS
KCA Labs : GC-MSを用いた検査のクロマトグラム

GC-MSを用いた検査のクロマトグラム

クロマトグラムとは、分析機器(HPLCやGC-MSなど)を用いて得られた検査結果のことです。上記のグラフは、検査の過程において検体が時間ごとに吸収した光の量、横軸を時間/分縦軸を吸光度/mAUで表しています。分析機器により分離された成分は、それぞれが異なる時間で検出器に流入します。したがって、吸光度のピークが出現した時間を調べることで物質内の成分を同定することができます。

さらに、上記の2つのクロマトグラムを比較すると、GC-MSでは、HPLCで検出できなかったピーク(赤矢印の部分)がいくつか確認できます。具体的には、GC-MSではΔ8-iso-THCΔ4,8-iso-THCexo-THCといった副産物が加えて検出されました。しかし、HPLCでは分離能が足りないため、これらの物質はΔ8-THCΔ9-THCという形で検出されています。このように、たとえ同じ物質を検査したとしても、使用する分析機器が異なれば検査結果も異なるということが分かります。そのため、KCA Labsでは、検査する物質の種類(濃縮物、花穂、完成品など)および製剤に含まれるカンナビノイドによって適切な機器を選んで検査を行っています。

CoAについて

検査の結果は分析証明書(CoA : Certification of Analysis)という形式で顧客に提供されます。CoAには、検査機関の情報、検査物質の情報、顧客の情報、使用された機器や限界値(LODおよびLOQ)、検査結果、検査を実施した科学者の署名、QRコードなどが記載されています。以下の画像はCoAの見本です。それぞれの部分に説明を記載したので一緒に確認していきましょう。

KCA Labs : CoAの見本

CoAの見本

検査機関の情報

CoA上部には検査機関の名称住所連絡先などが記載されています。

検査物質の情報

顧客から送られてきた物質の識別ID品種マトリクス状態、そして受領日時検査完了日時バッチ番号が記載されています。

顧客の情報

顧客の社名住所が記載されています。

検査結果

行った検査の種類使用した機器(HPLCやGC-MSなど)、LOD(検出限界)、LOQ(定量限界)(次章で詳しく説明)と成分の含有量、検査結果のクロマトグラムが記載されています。主要成分であるCBDやTHCの総量、そしてカンナビノイドの総量も記載されています。

QRコード、科学者の署名、認定マーク

CoAの下部に記載されているQRコードを読み込むことで、Web上でCoAを閲覧することができます。検査を実施した科学者の署名認定マークも記載されています。KCA Labsが所有しているPJLA ISO/IEC 17025とは、権威ある第三者認定機関であるPJLAが試験所や校正機関に対し、正確な測定/校正結果を生み出す能力があることを認定する規格です。

ラボパートナーの選び方

それでは、どのようにして検査機関を選べば良いのでしょうか?検査機関を選ぶ指針として、価格過去の実績CoAの信ぴょう性などが挙げられます。特に、CoAの信ぴょう性についてはどのように確認すればいいのか分からない方というも多数いらっしゃるはずです。いくつかの立場と場合に分けて一緒に確認していきましょう。

CoAの評価

これから検査を考えている方へ

まずは、CoAの取得方法について確認していきます。CoAは一般的に、検査機関に依頼をすることで手に入れることができます。CoAを取得できたら、次の手順に従って内容を評価しましょう。評価の基準は多岐にわたりますが、主に記載情報や検査結果が正確であるか、検査基準が規定を満たしているかなどが確認事項として挙げられます。

始めに、検査した物質が正しく表記されているかを確認しましょう。検査物質の内容や提出した企業が分かっている場合に限りますが、物質の種類識別IDバッチ番号顧客の情報などがすべて一致していることを確認します。(例:A社のCBDアイソレートの検査結果である場合、顧客情報にA社の社名、住所が正しく表記されていること、物質の名称がCBDアイソレートとなっていることを確認する。)

次に、検査結果基準を確認しましょう。検査結果は、それぞれの成分の含有量をパーセンテージ(%)で示しています。各成分の値を合算してトータルでの値と一致するか確認しましょう。そして、検査の基準はLOD(検出限界)LOQ(定量限界)で設定されています。これらの値は機器によって異なりますが、常にLOD < LOQとなります。

例えば、KCA LabsではΔ9-THCのLOQを0.0227%と設定しているので、この量未満かつLOD(0.0076%)以上のΔ9-THC濃度は < LOQとみなされます。そして、LOD以下の値は、機器が物質を確実に検出できるレベルを下回っているためND(Not Tested:非検出)とみなされます。LODおよびLOQは、研究所が行った検査方法の妥当性検証(バリデーションと呼ばれる)の研究結果から導かれるため、変更することはできません。また、LODとLOQは、希釈や素材の開始濃度の違いによって製品タイプごとに異なる場合があります。

また、検査結果を裏付ける証拠としてクロマトグラムを添付していることもあります。KCA Labsでは要求に応じてクロマトグラムを提供できますので、お気軽にご相談ください。

既に検査を行っている方へ

既に原料等の検査を行ったからと言って、もう検査を行う必要が無いという訳ではありません。例えば、原料を再輸入した場合には同じラボの製品であっても組成が変わっている可能性があります。そのため、輸入した原料ごとに検査を行うことを推奨します。また、検査した原料を用いて製品開発を行った場合も、成分同士の反応時間経過等で組成が変わってしまう場合があります。KCA Labsでは完成品も含めた、製品開発の段階ごとの検査も推奨します。最終段階での検査は、開発した製品の品質を担保するだけでなく、消費者が安心して購入できるということにもつながります。

他の事業者のCoAを参照する場合

原料会社などが所持しているCoAを参照することもあるかもしれません。しかし、一度検査機関を離れたCoAは意図的に作り変えられている可能性があります。そのため、まずはCoAが本物かどうかを見極める必要があります。確認事項としてはこれまでに述べた内容と同じですが、加えて注意するべき点が2つあります。

まずは、編集の痕跡を確認します。フォントが一部異なっていたり、科学者の署名やQRコードなどが不自然に削除されていたりする場合は注意が必要です。次に、QRコードを読み取り、Web上で同じCoAが表示されることを確認します。何らかの不備があった場合はCoAの提供者及び検査機関に確認を取りましょう。

KCA Labs の強み

KCA Labs の特徴

KCA Labsの検査方法やサービスには次のような特徴があります。

  • チーム合計で100年以上もの分析試験の経験
  • 経験豊富な分析科学者による検査結果のレビュー
  • 徹底した品質保証と品質管理
  • 安心のアフターサポート

KCA Labsでは、それぞれの検体に対して最適な調製方法検査機器を用いて、測定の不確かさを最小限にすることに注力しています。このように、経験豊富な科学者達が長い歴史のある分析試験の方法を用いることで、信頼できる検査結果を常に提供し続けています。もちろん、検査結果を提供した後も、質問に答えたり、製剤や検査に関するコンサルティングを行ったりするなど、顧客へのアフターサポートも欠かしません。

Richard Sams, Ph.D.の実績

KCA Labsには熟練の科学者達が所属しており、数々のライセンスを獲得しています。その中でも、CSO(最高科学責任者)のRichard Sams氏による科学的なサポートがKCA Labsの最大の強みであると言えます。

Richard Sams, Ph.D. CSO (最高科学責任者)

Richard Sams氏の経歴を簡潔に紹介します。

  • オハイオ州立大学の獣医薬理学の名誉教授
  • オハイオ州とフロリダ州の競馬規制当局、および農務省に附属する検査機関の設立を主導
  • 薬物とその代謝物を検出するための新しい分析方法の開発に関する査読済み論文を 140 近く執筆
  • Cannabis Science and Technology の編集委員
  • Association of Official Analytical Chemists Cannabis Analytical Science Program (CASP) のメンバーとして、分析手法の性能仕様書の査読および提案された新規分析手法の評価を担当

Richard Sams氏は、ケンタッキー州で盛んな競馬産業において競走馬のドーピング検査に携わっていました。その経験を活かし、現在もKCA Labsでカンナビノイド検査の手法を日々模索しアップデートし続けています最近では、日本に向けたウェビナーでの講演を行うなど、積極的にカンナビノイド検査に関する情報発信も行っています。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。

私たちは、カンナビノイド業界全体の発展には第一に検査が必要不可欠であると考えています。そして、昨今の合成カンナビノイドの流行などによりカンナビノイド検査の現状は常に目まぐるしく変化しています。その中で、KCA Labsがカンナビノイド検査に注ぐ情熱は他の検査機関に負けることのない大きな強みです。

KCA Labsではカンナビノイド検査の依頼をお待ちしています、お気軽にご連絡ください。

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